SHIRAI Kenzo (JPN)
2017 NHK Trophy AA
2017年NHK杯、2位の白井健三の演技構成を確認しておきます。

#1 ゆか FX
1. | シライ3 | Double Back Lay 3/1 | H | III | |
---|---|---|---|---|---|
2. | リ・ジョンソン | Double Back 3/1 | G | III | |
3. | 後方伸身宙返り5/2ひねり | Back Lay 5/2 | D | III | |
4. | ~前方伸身宙返り5/2ひねり | + Front Lay 5/2 | E | II | (CV:0.2) |
5. | 前方かかえ込み宙返り1回ひねり | Front 1/1 | B | II | |
6. | ~シライ2 | + Front Lay 3/1 | F | II | (CV:0.1) |
7. | 倒立から伸膝前転脚前挙支持経過倒立 | Endo Roll Pk to Hdst | C | I | |
8. | 後方伸身宙返り7/2ひねり | Back Lay 7/2 | E | III | |
9. | ~前方伸身宙返り1回ひねり | + Front Lay 1/1 | C | II | |
10. | シライ/グエン | Back Lay 4/1 | F | III |
D:7.2
E:8.700
Score:15.900
全日本選手権のときと構成は同じだが、出来映えははるかに良い。特に最初のH難度とG難度の大技2本はほぼ止めたと言っていい着地を見せる。その後も全ての着地を収め、15.900というとんでもないスコアを叩きだして最高のスタートを切る。
#2 あん馬 PH
1. | 逆交差倒立 | Back Scissor to Hdst | D | I |
---|---|---|---|---|
2. | 横向き旋回 | Circle | A | II |
3. | Eフロップ | 4 Flops | E | II |
4. | Dコンバイン | 2 Flops + R180 | D | II |
5. | マジャール | Magyar | D | III |
6. | シバド | Sivado | D | III |
7. | 一把手上縦向き旋回 | Pommel Loop | B | II |
8. | 把手上下向き転向 | Czechkehr | B | II |
9. | 縦向き後ろ移動(2/3) | Back Loop Travel 2/3 | B | III |
10. | 一把手上縦向き旋回倒立450°ひねり3/3移動下り | P Loop to Hdst Travel 3/3 450 | E | IV |
D:5.3
E:8.300
Score:13.600
苦手種目であろうあん馬だが、目立ったミスなく演技を通した。終末技はE難度。全日本のときとは違い、馬端から馬端までしっかり往復してひねっている。
#3 つり輪 SR
1. | 後ろ振り上がり中水平支持 | Back Uprise to Maltese | E | III |
---|---|---|---|---|
2. | 中水平支持 | Maltese | D | II |
3. | アザリアン | Back Roll to Cross | D | II |
4. | ヤマワキ | Yamawaki | C | I |
5. | 屈身ヤマワキ | Yamawaki Pk | D | I |
6. | 後ろ振り上がり開脚上水平支持 | Back Uprise to Strd Planche | C | III |
7. | ほん転逆上がり倒立 | Felge to Hdst | C | I |
8. | 後ろ振り上がり倒立 | Back Uprise to Hdst | C | I |
9. | グチョギー | Guczoghy | C | I |
10. | 後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下り | Double Back 2/1 | E | IV |
D:5.7
E:7.850
Score:13.550
中水平の姿勢は減点が避けられないと思われるが、静止時間を意識した我慢のつり輪を見せる。新月面の着地を止める。
#4 跳馬 VT
D | E | Pen | Score | ||
シライ/キム・ヒフン | Yurchenko Lay 3/1 | 5.6 | 9.250 | 14.850 |
さらに1/2ひねるシライ2(伸身ユルチェンコ7/2ひねり)かとの観測もあったが、3回ひねりで来た。最近はめっきり着地が安定しているが、今回はやや後ろに跳ねた。
#5 平行棒 PB
1. | 後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持 | Back Uprise Front Pk to Sup | D | II |
---|---|---|---|---|
2. | 棒下宙返り倒立 | Basket to Hdst | D | III |
3. | 後方車輪倒立 | Back Giant to Hdst | C | III |
4. | ベーレ | Belle | D | III |
5. | チッペルト | Tippelt | D | III |
6. | ヒーリー | Healy | D | I |
7. | 前振りひねり倒立 | Stützkehr to Hdst | C | I |
8. | 懸垂前振り後方かかえ込み宙返りひねり腕支持 | Giant Back Toss 1/2 | D | III |
9. | 前方開脚5/4宙返り腕支持 | 5/4 Front Strd | D | I |
10. | 前方かかえ込み2回宙返りひねり下り | Double Front 1/2 | F | IV |
D:6.0
E:8.600
Score:14.600
平行棒は常に安定した実施を見せている。2017年からは内村が行うように車輪ライヘルトから開脚前宙を連続するようになり流れも良くなっている。着地を止める。
#6 鉄棒 HB
1. | ヤマワキ | Yamawaki | D | II |
---|---|---|---|---|
2. | エンドー | Endo | B | III |
3. | アドラー | Jam | C | III |
4. | ポゴレロフ | Pogolerov | F | II |
5. | シュタルダー | Stalder | B | III |
6. | コバチ | Kovacs | D | II |
7. | 後方とび車輪1回ひねり | Hop 1/1 | C | I |
8. | アドラーひねり | Jam 1/2 | D | III |
9. | シュタルダーとび1回ひねり | Stalder Hop 1/1 | C | III |
10. | 後方伸身2回宙返り2回ひねり下り | Double Back Lay 2/1 | E | IV |
D:5.6
E:8.350
Score:13.950
要所での脚の開きやひねり技の正確性が減点要素としてはあるものの全体としてはよくまとまった鉄棒の演技。コバチの実施は素晴らしく、より難度の高い発展技の導入にも期待がかかる。着地は小さく跳ねる。
Total Score:86.450 (Total D:35.4)
Combined Total:172.550
Rank:2nd
演技構成は基本的に全日本のときと同じです。何より素晴らしいのは合計Dスコア35.4の構成を2大会を通じて大きなミスなく通し、86点台を続けてマークしたことでしょう。これは、もちろん内村航平と白井の2人だけです。
1種目目のゆかを終えた時点では内村に1.050もの差を付けました。3種目目で一旦逆転を許しますがすぐにひっくり返し、5種目目の平行棒を終えた時点で0.500の差を保つという堂々の戦いぶりでした。最後は絶対王者の9連覇を許す結果となりましたが、実に見事な試合を見せてくれました。持ち点で0.250の差がありましたが、この日の成績だけなら内村との差はわずか0.100です。
NHK杯2位の結果により白井は10月のモントリオールでの世界選手権代表の座を確定させました。2013年から日本代表入りを続けていますが、個人総合の成績で選ばれたのはこれが初めて。スペシャリストとしての力を伸ばしつつ、かつ安定したオールラウンダーへと著しい進化を見せています。
この記事へのコメント
体操大好きっ子
最後は内村君と白井君の戦いになりましたが、谷川君の存在が増した大会だったと思います。
と、言っても言われるように白井君のゆかは圧巻!
恐らくあんな演技は白井君しかできないでしょうね。
内村君は世界選手権出場に向けてのD構成でしたので、迫力は劣りましたがさすがのEスコアはでした。(本人は納得いってないでしょうがw)
今秋の世界選手権での内村君のDスコア構成が気になりますが、個人的には攻めていって欲しい気がします。
白井君もオールラウンダーとして生きていく事を公言している以上、苦手種目を少しずつ克服傾向にあるとは思いますが、少しずつ得意種目にある平行棒・鉄棒の技のレパートリーの余裕を見たいのが観客側の私です。それほど期待していると言うことですけどね^^;
Ka.Ki.
内村選手は世界選手権ではさすがにDスコアを上げる必要があるでしょうね。平行棒を戻す程度でも十分かもしれませんが。ただ、それまで間がずいぶんと空くのが気にはなります。
ユーマォ
特にあん馬は、彼ならもっとDを上げられると思います。
Dを+0.3して、Eが+0.1ならば14.000。
彼のあん馬の構成にはA難度が一つ、B難度が三つありますから、まだ伸びる余地はあるでしょう。
Ka.Ki.