2017-2020年ルールにおける最高Dスコア

2017-2020 Highest D-Score


現時点における各種目の世界最高Dスコアとなる演技構成をまとめておきます。こうやってどこかに書いておかないと自分でも分からなくなってしまうので。今後の大会でDスコアが更新された場合は、記事も随時アップデートしていきます。

つり輪を更新しました。

1. ゆか FX

白井健三 - 2017年種目別ワールドカップ・メルボルン大会:種目別決勝
SHIRAI Kenzo (JPN) - 2017 Individual Apparatus World Cup Melbourne (AUS) EF


1.シライ3Double Back Lay 3/1 HIII
2.リ・ジョンソンDouble Back 3/1GIII
3.前方かかえ込み宙返り1回ひねりFront 1/1BII
4.~シライ2+ Front Lay 3/1FII(CV:0.1)
5.伸膝前転脚前挙支持経過倒立Endo Roll Pk to HdstCI
6.後方伸身宙返り7/2ひねりBack Lay 7/2EIII
7.~前方伸身宙返り3/2ひねり+ Front Lay 3/2CII
8.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
9.~前方伸身宙返り5/2ひねり+ Front Lay 5/2EII(CV:0.2)
10.シライ/グエンBack Lay 4/1FIII

D:7.2

ルール改訂から間もないこの大会でいきなり観るものの度肝を抜くDスコア7.2の構成を見せた。その後、微妙に構成を変えながら7.2のDスコアで演技を続けている。


2. あん馬 PH

マックス・ウィットロック(イギリス) - 2018年世界選手権:団体決勝
WHITLOCK Max (GBR) - 2018 Worlds Doha (QAT) TF


1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.Gコンバイン2 Flops + R1080GII
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.ブスナリBusnariFII
5.マジャール・シュピンデルLoop 1/1 SpindleDII
6.開脚マジャールFlair MagyarEIII
7.ウルジカ2Urzica2EIII
8.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
9.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
10.DSA倒立450°ひねり3/3移動下りDSA to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:7.0

2018年世界選手権、予選はDスコア6.7、種目別決勝は6.8だったが団体決勝で7.0を出している。試合の動画は見つかっていないが、Gコンバインを入れた構成と思われ、大会前には上のような練習動画も公開されていた。


3. つり輪 SR

劉洋(中国) - 2019年ミリタリーワールドゲームズ:団体決勝
Liu Yang (CHN) - 2019 Military World Games Wuhan (CHN) TF


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseFII
2.バランディン3Vertical Pull Up to PlancheEII
3.バランディン2Vertical Pull Up to Inv-CrossFII
4.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
5.後ろ振り上がり十字倒立Back Uprise to Inv-CrossDIII
6.後ろ振り上がり上水平支持Back Uprise to PlancheDIII
7.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
8.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
9.ナカヤマBack Lever to CrossDII
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:6.6

劉洋が2019年に入り頭一つ抜き出る6.6を達成。次点となる6.5にはコートニー・タロック(イギリス)や尤浩(中国)が続いている。


4. 跳馬 VT

リ・セグァン(北朝鮮) - 2018年世界選手権・ドーハ大会
RI Se-Gwang (PRK) - Worlds Doha (QAT)



D
1.リ・セグァン2Hdsp Double Front Pk 1/26.0
2.リ・セグァンKasamatsu Double6.0

2018年ワールドカップ・ドーハ大会で6.0を2本跳んでいたが動画が確認されていなかった。2018年世界選手権では予選、種目別決勝ともこの2本を揃えてきた。


5. 平行棒 PB

鄒敬園(中国) - 2018年ワールドカップ・ドーハ大会
ZOU Jingyuan (CHN) - 2018 World Cup Doha (QAT)


1.ツォラキディスFront Uprise MakutsGII
2.マクーツMakutsEI
3.リチャードFront Uprise DiamidovEII
4.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
5.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
6.ササキ5/4 Front Strd to HangEI
7.バブサーBhavsarEIII
8.チッペルトTippeltDIII
9.ヒーリーHealyDI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:7.0

平行棒の最前線を突っ走る鄒敬園の究極の構成。ついにツォラキディスを入れて7.0にまで達した。DスコアだけでなくEスコアもぶっちぎりで他の追随を許さない。


6. 鉄棒 HB

内村航平 - 2017年全日本種目別選手権:決勝
UCHIMURA Kohei (JPN) - 2017 JPN Apparatus Nationals EF


1.屈身コバチKovacs PkEII
2.カッシーナCassinaGII
3.~コールマン+ KolmanEII(CV:0.2)
4.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
5.アドラーひねりJam 1/2DIII
6.ゲイロード2Gaylord2EII
7.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
8.ヤマワキYamawakiDII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.9

内村が2017年全日本種目別で見せた構成。国際大会ではユプケ・ゾンダーランド(オランダ)の6.8が最高。なお、齊藤優佑が落下ありながら2017年全日本種目別選手権決勝で7.0を出している。

この記事へのコメント

  • haru

    2017年のルールだと、鉄棒の手放し技はは5回でもOKなんでしょうか?
    2017年04月30日 23:26
  • マイコ

    特別要求が5グループから4グループに減った代わりに
    各グループごとの技数は5技までとなりました。
    ですので例えば白井選手の床でも
    シライ3、リジョンソン、後方2回半ひねり、後方3回半ひねり、シライ1
    と後方系を5技使っていますよね。
    2017年05月01日 02:19
  • haru

    マイコさん、教えてくださってありがとうございます。
    2017年05月01日 23:20
  • ぺガン

    いつも楽しく拝見さして頂いております。突然の質問で大変、恐縮でありお恥ずかしいお話なんですが体操のひねりの数
    (例) 床の場合 7/2とか5/2ひねりとかとなってる表記だと結局
    何回ひねってる計算になるのかパッと計算出来ません
    本当に図々しいですがそこの部分を教えてくださると助かります。馬鹿すぎる質問だとは思いますがご回答くださると助かります。すみません。
    2017年07月03日 02:26
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    7/2ひねりだと二分の七で、つまり3回半ひねりです。5/2は2回半、3/2は1回半です。日本語版採点規則の表記に基づいていますが、慣れないと分かりにくいかもしれませんね。なお、半ひねり(1/2ひねり)は単に「ひねり」とするのが通常です。
    2017年07月03日 20:33
  • ぺガン

    馬鹿な質問にもご丁寧にご返信くださり、本当に有り難う御座います。ご無礼かつ勝手ながらこれから管理人様の面白い
    このサイトを楽しみにしています。
    2017年07月03日 21:38
  • のり

    体操のルールが複雑でよくわからないんですが、リオのあと技のdスコアって全体的に下がったかんじですか?世界体操の床とかを見てるとリオは15点代の選手がたくさんいましたが、今回は白井でも15点半ばで、他の選手は14点代に落ちついてます。実際のところどうなんでしょうか??教えていただけたら幸いです、、、
    2017年10月16日 13:42
  • Ka.Ki.

    正確さよりも簡単さを優先してざっくりと説明します。

    跳馬以外の5種目については、Dスコアを構成する要素のうち、要求グループ点という基礎点のようなものが2016年までは2.5点でしたが、2017年のルール改訂で2.0点になっています。

    跳馬についてはほとんどの跳越のDスコアが一律0.4点下がりました。

    他にもゆかや鉄棒の組合せ加点に関するルールが変わっており、これらによりDスコアは全体的に下がっています。
    2017年10月16日 20:24
  • のり

    なるほど〜〜、そうだったんですね、、、ルールが結構な勢いで変わるのでついていけてなかったです。東京五輪でも、個人と団体で金とれますかねえ、、。
    2017年10月16日 23:29
  • Ka.Ki.

    体操競技のルールは4年毎、オリンピックの翌年に変更されます。

    東京オリンピック、もちろん団体と個人総合の金メダルを期待したいところですが、各国の状況を見るに楽観はできないと思います。とにかく若手選手には難度アップを望みたいです。
    2017年10月17日 20:46
  • 伸身ローチェ

    平行棒はすごい点数が出ましたね。DスコアだけでなくEスコアも9.200と記録的なものでした。
    特にツォラキディスのような腕支持からのひねり技が世界全体で導入されている傾向にあるのでしょうか。リチャードあたりはじわじわ増えている気がします。
    やはり腕支持からの技は平行棒特有のもので、鉄棒などほかの競技に技術の応用が利きづらいんでしょうか、以前は高難度のものは見られていませんでしたが、個人的には楽しみにしています。
    2018年04月08日 23:20
  • Ka.Ki.

    腕支持からの技はやらない選手は本当に最小限ですから世界的な傾向とまでは言えないと思いますが、確かに増えている印象です。ただ、格上げになった前振り上がりひねり倒立と違ってリチャードはずっと同じ難度ですから、使い手が増えているとすれば面白い現象だと思います。ツォラキディスについては2013年にG難度になっても一向に現れませんでしたし、これはちょっと鄒選手が特別なような気もします。
    2018年04月09日 21:42
  • マイコ

    鄒選手の平行棒のEは9.2で全く文句なしですし、
    棒下ひねりの倒立はずれとひねり後のそりがなかったら更に伸びたでしょうからね。。。
    毎回の倒立での収め、一度たりとも握り直しをしない、降りの前宙ひねりも足は閉じる、
    そのすさまじいまでの実施へのこだわりには感服するばかりです。
    10技外の車輪を入れているのも減点されない自信の表れでしょう。
    もちろん体制を整える意図もあるでしょうが。
    2018年04月10日 13:32
  • Ka.Ki.

    車輪は演技のパターンのようになっていてそのまま入れているのかと思っていましたが、リチャードで少しずれた握りを車輪を挟むことで整えているようにも見えますね。この車輪の実施であれば減点はないでしょうし、とんでもないですね。
    2018年04月10日 23:56
  • マイコ

    すでにご覧になっているかもしれませんが
    中国国内大会のZOU選手の平行棒です。
    https://www.youtube.com/watch?v=oP13FE74rOg&t=1233s

    一部の乱れもない演技に惚れ惚れしました。
    以前までは降り技のひねりでわずかに足割れがみられたのですが
    (といっても他の選手とは段違いで姿勢が良いのですが)
    敢えてひねりを早めにすることで完全な実施を実現しています。

    もう彼は、如何に減点をゼロにするか、という段階にあり
    さらなる異次元な領域に達しつつあると感じました。
    2019年06月03日 07:14
  • 伸身ローチェ

    >マイコさん

     もう信じられないという気持ちにさえなります。他の選手には失礼ですが今までの平行棒の演技は何だったのか、そう思わずにはいられません。
     とにかく倒立の決めが完璧で慣性の法則など物理法則を超越しているような実施ですね。リチャードと棒下宙返り倒立の止めは人間技とは思えません。
     これでもEスコアは9.467、小欠点が5~6つあるのでしょうか。この演技から5つ減点個所を見つける審判もすごい、私には到底できません。
    2019年06月03日 18:35
  • マイコ

    極々辛めに採点したとして下記くらいしか見つかりません。

    ツォラキディスの瞬時停滞 0.1
    マクーツでの瞬時停滞 0.1
    ヒーリー後のわずかな修正 0.1
    着地のわずかな足開き 0.1

    それでも9.6ですし、この辛さで採点すると他選手は9点台はおろか
    8点台も難しいレベルになるかと思います。
    私的には9.7が出ても良いのでは、と思ってしまいました。
    2019年06月03日 20:33
  • 伸身ローチェ

    私もそこまでが限界です。あとは何かが中欠点になっているとか……?Eスコアに関する解説が聞いてみたいこのごろです。Youtubeに少し見かけたことはありますが解説されていた方が審判のライセンスを持っていたかどうかは分かりません。本当に情報不足を感じます。
    2019年06月03日 23:31