SHIRAI Kenzo (JPN)
2017 Individual Apparatus World Cup Melbourne (AUS) QF&EF FX
いよいよワールドカップも始まってきました。オーストラリアはメルボルンで開催された種目別ワールドカップからいくつか演技を挙げていきます。まずは白井健三の異次元のゆかですが、予選と決勝で微妙に構成が変わっているので両方の演技を見ていきたいと思います。
予選の演技です。ルール改訂で側方宙返りが削除され、何を入れてくるのか、どういった構成を組んでくるのか注目されましたが、なんと後方2回宙返り3回ひねりのシライ3とリ・ジョンソンの両方を入れてくるというとんでもない構成を持ってきました。どこまでも私たちの想像を超えてくる選手です。
シライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)の前の前方宙返り1回ひねりはかかえ込みのままのため、格下げのB難度になっています。連続技というよりはF難度の大技にいくための予備動作に近い宙返りのため、直ちに伸身にするのは難しいということでしょう。
終末技の一つ前のシリーズは、これまで後方5/2~前方5/2のD+Eでしたが、後方5/2~前方3/2のD+Cに落としています。組合せ加点の適用が2回までに制限され、むやみに高難度の連続技を連発する必要がなくなったためと考えられます。
1. | シライ3 | Double Back Lay 3/1 | H | III | |
---|---|---|---|---|---|
2. | リ・ジョンソン | Double Back 3/1 | G | III | |
3. | 前方かかえ込み宙返り1回ひねり | Front 1/1 | B | II | |
4. | ~シライ2 | + Front Lay 3/1 | F | II | (CV:0.1) |
5. | 倒立から伸膝前転脚前挙支持経過倒立 | Endo Roll Pk to Hdst | C | I | |
6. | 後方伸身宙返り7/2ひねり | Back Lay 7/2 | E | III | |
7. | ~前方伸身宙返り2回ひねり | + Front Lay 2/1 | D | II | (CV:0.2) |
8. | 後方伸身宙返り5/2ひねり | Back Lay 5/2 | D | III | |
9. | ~前方伸身宙返り3/2ひねり | + Front Lay 3/2 | C | II | |
10. | シライ/グエン | Back Lay 4/1 | F | III |
D:7.1
E:8.000
Score:15.100
QF Rank:1st
決勝の演技です。基本的には予選と同じでまたも後方2回宙返り3回ひねりを2つ入れています。しかし、2つ目のリ・ジョンソンは膝を突く低い着地になってしまいました。
予選から変えているのは後半の連続技です。後方7/2~前方2回だったところを~前方3/2のE+Cにし、一方で後方5/2~前方5/2のD+Eを復活させています。このためDスコアは0.1上がって7.2になりました。
1. | シライ3 | Double Back 3/1 Lay | H | III | |
---|---|---|---|---|---|
2. | リ・ジョンソン | Double Back 3/1 | G | III | |
3. | 前方かかえ込み宙返り1回ひねり | Front 1/1 | B | II | |
4. | ~シライ2 | + Front 3/1 Lay | F | II | (CV:0.1) |
5. | 倒立から伸膝前転脚前挙支持経過倒立 | Endo Roll Pk to Hdst | C | I | |
6. | 後方伸身宙返り7/2ひねり | Back Lay 7/2 | E | III | |
7. | ~前方伸身宙返り3/2ひねり | + Front Lay 3/2 | C | II | |
8. | 後方伸身宙返り5/2ひねり | Back Lay 5/2 | D | III | |
9. | ~前方伸身宙返り5/2ひねり | + Front Lay 5/2 | E | II | (CV:0.2) |
10. | シライ/グエン | Back 4/1 Lay | F | III |
D:7.2
E:7.500
Score:14.700
Rank:1st
ルール改訂によりどの選手もDスコアが大幅にダウンしている中、白井だけが実質アップしており、その異次元ぶりに拍車がかかっています。決勝では大きなミスがあったものの圧倒的なDスコアで2位以下をねじ伏せて優勝を飾りました。
後半の連続技は、後方7/2~前方2回と後方5/2~前方5/2のフル構成が通ればDスコアは7.4になるため、今後はこの構成を目指してくる可能性もあります。しかし、組合せ加点の回数制限によりそこまで効果的でない面もあるため、今大会のように状況に応じて適切な構成を選んでくる場合もあるでしょう。各国のライバルたちにとってはまずます手に負えない存在になっていきそうです。
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